抄録
電気魚焼器により中あじを焼く場合の加熱条件について研究し、次の点を明らかにした。
(1) 電気魚焼器の内部温度は焼き網の位置により差がある。同じ温度を得るには、中段 (ニクロム線から4cm下) は上段 (ニクロム線から2cm下) の約1.3倍、下段 (ニクロム線から6cm下) は上段の約1.5倍の通電時間を要す。器具内部の温度は緩やかなカーブを描きつつ上昇し、ほとんど振れがない。300℃をこえると温度上昇はきわめて緩慢になる。
(2) 器具を予備加熱するか否かは、魚の焼き上がりに影響を与える。すなわち予備加熱をして、器具内部の温度を高めてから魚を焼いた方が、重量の減少は少なく、圧出水分率は大きい。
(3) 焼き網の位置は中段以上で焼くと、魚の加熱時間は短く、しかも火がよく通り、圧出水分率も比較的大きく、官能による評価も良好である。
(4) 電気魚焼器で魚を焼く場合は、ガス火による直火焼きよりは加熟時間を多少長くした方が焼き上がり重量は少なく、圧出水分率も小さくなるが、食味は良好になる。
(5) 最もおいしく焼けた魚の焼き上がり重量は70~75%、圧出水分率は39~45%、焼き上がり時の魚の内部温度は、上段で76~91℃、中段で81~93℃である。
(6) 官能による評価も総合してみると、予備加熱を3~4minして、器具内部の温度を2CC℃ぐらいにしてから焼き始め、下身6.5 : 上身3.5の割合で11~12min焼くとよい結果が得られる。