抄録
米粉を用いた蒸しカステラについて実験を行ない、 次の点を明らかにした。
(1) 米粉は卵から水分を得て膨潤糊化し、卵泡の包含する空気の熱膨脹や水蒸気によって膨化するが、卵の使用量を多くしても蒸しカステラの膨化率は高くならない。
しかし卵の量が多いと水分が多くなるため、米粉の α化度は高くなり、製品は柔らかくて食味も向上する。
(2) 生地の中に含まれる米粉の量は多いほど、蒸しカステラのかたさは強くなるので、卵の量は米粉の重量の1.5~2倍ぐらいがよい。
(3) 砂糖は使用量が多いと、柔らかくなるが水分は少なくなり、食味は低下するから、砂糖の量は米粉と同重量程度がよい。
(4) 米粉の粒度が細かいものは、粗いものより膨化率は低く、かたくなるが食味はよい。したがって蒸しカステラには大小粒度の混合した米紛を用いればよい。
(5) 米紛に小麦紛を配合する場合は、70 : 30 ぐらいが膨化率は高く、食味もよい。しかし米粉のみを用いた場合よりややかたくなる。