抄録
以上、今回の高校生・大学生・一般成人男女の肩傾斜角を中心とした身体形態の観察結果を要約すると次の通りである。
1. 身長・胸囲・背肩幅・頸付根囲・背部皮下脂肪厚並びに体重の6項目について、男子は高校3年までは 6項目ともやや増加を示し、以後も胸囲・頸付根囲・体重についてはわずかの増加を続け、有意差がみられる。すなわち、胸囲では大学2・ (3・4) 年間、頸付根囲では高校3・大学1年間、大学2・ (3・4) 年間、体重では大学1・2年間にそれぞれ有意差がみとめられる。背肩幅は相隣るいずれの学年間にも有意差はみとめられない。女子も高校3年まではほとんどの項目で緩慢な増加を続けるが、以後は胸囲・体重を除いてはやや停滞の傾向がみられる。すなわち、胸囲では大学 2・ (3・ 4) 年間、体重では大学1・2年間に有意差がみられる。頸付根囲では大学1年は高校3年よりも劣り、大学2年は3・4年よりも劣りそれぞれ有意差がみられたが、総じてやや停滞の傾向がみられる。背部皮下脂肪厚では大学1年は高校3年よりも劣り、大学2年よりもさらに劣っていてそれぞれ有意差がみられ、総じてやや停滞の傾向にある。身長・背肩幅は相隣るいずれの学年間にも有意差はない。
全国資料との比較では、今回の資料はやや背の低い太り気味の体型と観察される。
2. 肩傾斜角については
a) 相隣る学年間に著差はなく、前報の中学生に比較すると、男子は傾斜角度は大きくなっている。柳沢らの女子大学生成績、田村らの男子大学生成績との比較では、男女とも傾斜角度は小さく「いかり肩」で柳沢の東北出身女子学生成績とは近い角度である。
b) 性差については、女子は常に男子より「なで肩」であるが、その差は中学生における性差に比し小さい.c) 肩傾斜角の分布は広い範囲にわたっており個人差が大きい。すなわち、男子では約82%が17度から26度の範囲に、女子は約80%が19度から28度の範囲に分布している。
d) 肩傾斜角に対する身長・胸囲・背肩幅・頸付根囲・背部皮下脂肪厚の相関については、各学年男女いずれも低く、肩傾斜角とこれらの項目との間には概して関係がないようである。
以上、前報の小・中学生に加えて、今回の高校生以上の青年男女の肩傾斜角の計測結果を、ただちに衣服型紙製図における肩線に適用することは問題であるが、肩部形態構成の一要因として、小学生から青年に至る男女の年令的変化並びに性差の把握に役立つと考える。