家政学雑誌
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クッキーの原料配合比と食味の関係について
川染 節江石間 紀男吉川 誠次
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1971 年 22 巻 1 号 p. 41-47

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抄録

1) クッキーの味覚は、原料の配合比により影響されると思われるので、その関連を調べるために、単体格子方格に従って、実験回数が25のCubic Modelを採用し、官能テストとTexturometerによる硬さの測定を行なった。
2) テスト方法は、毎回4個ずつ基準品と比較する方法をとり、外観、風味、甘味、硬さ、舌ざわり、総合評価の6項目とし、基準品の評価は、嗜好意欲尺度にもとついた。3) クッキーの嗜好を左右する官能的要因を検討するために、総合評価と各評価項目との関係について、単純相関係数と偏相関係数を求めた。その結果、総合評価に寄与する主な評価項目は、舌ざわり、甘味、風味であることが判明した。
4) 反応曲面の係数を求めることにより、実験格子点以外の配合比による試料について、総合評価を推定することができた。それによれば、小麦粉、砂糖、卵が最小の割合 (35、15、10%) では、コーンスターチが少なくてバターが多いほどよく、もっともよい配合比は、小麦粉35%、コーンスターチ8.3%、砂糖18.3%、バター28.3%、卵10.1%であると解釈できる。硬さの測定値は25-36 (T.U.) が理想的であり、コーンスターチの適量の配合は、Texturometerの測定曲線から、「もろさ」をよくする傾向があることが判明した。
5) クッキーは水分が少ない (2.3~2.5%) ので保存性に富み、デシケーターを利用すれば8週間経過したものでも食味に変化のないことを確認した。

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