抄録
試料布に絹布を使用した場合, 曲率半径の異なる5種類のへらを用い加重と往復摩擦数を変えた場合のへら標しの深さはどのように変わるかをしらべる目的で実験した.
へら標しは特別に作った電動へら付け器を使用して行ない, へら標しの深さを鉱物用顕微鏡を改造したもので測定し, さらに本測定に便利に改造したダイヤルゲージでへら標しの部分の布の厚み減少を測定した.その結果
(1) へら標しの深さはへらの曲率半径が小になるほど深くなるが比例関係にはならない.
(2) 加重が小さいときは往復回数が増すごとに深さの増加する率は大きい.
(3) 顕微鏡測定値はダイヤルゲージ測定値より7倍近くも大きい数値であった.これは側帯隆起現象が大きく起きていることを表明している.