家政学雑誌
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いちごの成熟に伴うアスコルビン酸の消長
その組織化学的な検出および生化学的定量分析
川上 いつゑ芦田 迪子
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1974 年 25 巻 2 号 p. 103-106

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抄録
以上「いちご」の成熟度を8段階にわけて, 実験観察した結果
1. 100g当たりのAsA量は蕾や開花期には非常に少ないが, 果実が成育するにつれ, 増加の傾向がみられ, 適熟期にいたるとかえって減少する.
2. 1個体当たりのAsA量も成熟するにつれて増加するが, 濃赤色に着色すると減少の傾向がみられる.
3. これを組織化学的顕微鏡像によると, その分布は開花期までは組織中いずれの細胞にも一様に散在するが, 結実とともに組織に機能分化がおき, がく, 果実の表皮, 種子, 基部の細胞に多くのAsAが存在し, 果肉では, 特定の細胞にとくに多く発見された.これらは葉緑素とAsA合成との間に相関性があり, 一般に若い新鮮な組織に多い.
4. 一般に果実は, 熟した時期よりも一歩退行をはじめた頃の方が, 風味と甘み, 旨味が増す.
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© 社団法人日本家政学会
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