家政学雑誌
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家庭科教育の動向 (第1報)
ユネスコ調査との関連研究家庭科教育関係教官の教育課程改善について
村山 淑子
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1974 年 25 巻 7 号 p. 562-567

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抄録
ユネスコの世界調査に関連する家庭科教育に関する質問紙調査につき, 家庭科教育関係教官の教育課程の改善についての結果を要約すると次のようになる.
1) 現在の家庭科の重要度については, 家庭科教育関係教官は世界調査結果よりはるかに高く重要度を認めているが, 将来の重要度については, ユネスコ調査結果では今回の結果より家庭科の重要度が増すと認識されている.重要とする理由については, 家庭生活や人間生活の基礎作りに必要であるが多いが, 現在については前者が, 将来については後者が強調されている.
2) 家庭科教育の目標については, 家庭科内容領域に共通する目標である家族生活のよりよい形成と生活技術を習得させるが1位, 2位, 消費者教育が3位となった.人間を物より優先させる目標が高く, ユネスコ調査の結果が物資の有効利用が1位を占める他, 生活の物的改善を目ざす目標が高位を占めるのとは異った傾向であった.
3) 教育課程における家庭科の履修の望ましいあり方としては, 小・中・高の各学校段階で男女の履修が支持されている.履修の形態については, 小学校では男女全く同じで必修が絶対的に支持されているが, 中学校, 高等学校では男女の差がみられ, 「選択のみ」は女子については極めて少数であるのに, 男子では学校段階があがるにつれ増加している.
4) 家庭科教育を担当する大学教官, 附属中学校教官, 附属小学校教官は, 調査項目の多くに意見の一致がみられた.差がある多くの場合, 家庭科教育の実際に携わる附属校教官の問には差が少なく, 大学教官との間に差がみられた.
大学教官が家庭科教育の重要度を最も高く認めることが示された.
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