家政学雑誌
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ゼラチンゲルの特性におよぼす要因について (第1報)
有機酸・糖およびペクチンの影響
河村 フジ子中島 茂代森 清美
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1976 年 27 巻 5 号 p. 329-334

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抄録
ゼラチンゾルに有機酸, 砂糖, ペクチンおよび果汁を加えてゾルとゲルの特性をみた結果を要約すると次のようになる.
1) 40~98℃のゼラチンゾルに10%の1N-クエン酸を加えた場合はゲルの硬さは変らないが, 膨潤ゼラチンに同量の酸を加えて加熱した場合, 80℃以上になるとゲル化は阻害される.
2) 各種の有機酸添加ゾルのpHはコハク酸, クエン酸, リンゴ酸, 酒石酸の各ゾルの順に低く, ゲルの硬さはこの順にやわらかくなる.
3) ゼラチンゾルに酸を加えてpHを等電域にすると粘度は低下し泡立ちは大となり固まりやすく溶けにくい硬いゲルが形成され, 等電域よりpH が低くなるにつれて逆の現象がみられる.
4) 酸添加ゼラチンゾルに砂糖を加えると, ゾルの粘度が増加し, ゲル化しやすく, 溶けにくい硬いゲルを形成する. 砂糖とペクチンを同時に加えるとこの傾向はいっそう顕著となる.しかし, ペクチンのみ加えた場合は, ゲル化を阻害する.
5) ゼラチンゾルに加える酸量を一定にした場合, 各果汁のpHには大差がなく, 糖量とペクチン様物質量が多いブドウ汁添加ゾルはゲル化しやすく糖量が少なく多量の分散高分子を含むイチゴ汁添加ゾルはゲル化しにくい.
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