抄録
以上の結果を, オレイル硫酸塩を中心にまとめるとつぎのようになり, これは衣料用液体洗剤の開発に際し有用な, 洗浄力に関する基礎的知見となろう.
1) AmOSおよびNaOSは, NaSSとNaLSとの中間の洗浄力を示す. この結果は林らの報告とも一致する. また両者とも40℃では, 濃度0.05%付近に洗浄効率の極大値を有する. しかし20℃では, この極大値を示す濃度は高濃度側にずれる. また20℃の洗浄効率は40℃のものより低い.
2) NaSSも, 40℃で濃度0.05%付近に洗浄効率の極大値を有し, すぐれた洗浄力を示すが, 20℃では著しく低下する. これに対しNaOSを20~50%配合すると, 20℃, 0.05%の洗浄効率は著しく増大する. 表現をかえると, NaOSの洗浄力は, NaSSを等量以上配合することにより, 著しく向上する.
3) AmABSの洗浄力は, AmOSを20%以上配合すると, かなり向上する. これはAmABSに比べ, AmOSの極大洗浄効率を示す濃度が低い (40℃で0.05%付近) 性質も関係していよう. またAmOSの0.30%, 40℃の洗浄効率は, AmABSを20%以上配合することにより改良される.
4) AmOSとAmABSとの混合物 (配合比7 : 3) に, ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤を配合すると, その洗浄力は一般に向上するが, NP (EO)10の場合にその効果が著しい.