家政学雑誌
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電子レンジ加熱食品中のでんぷんの老化について
内島 幸江栗原 泰子
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1977 年 28 巻 2 号 p. 95-100

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抄録

電子レンジ加熱食品の貯蔵によるでんぷんの老化を検討する目的で米およびさつまいもを加熱後, 6℃ あるいは -20℃ に保存 (解凍は 30℃ ± 2℃) し, α 化度, X 線回折の測定, 官能テストなどを行い, 他の加熱方法と比較した.
1) 電子レンジ加熱食品は加熱後水分が蒸散しやすく放置することにより硬くなった.
2) 米飯, 団子, さつまいものいずれも貯蔵によってα化度は減少し, 冷蔵に比べ冷凍貯蔵は減少率が小さかった.また電子レンジ加熱の場合は, いずれの食品も従来の加熱方法に比較して α 化度が貯蔵により低下した.
3) X 線回折法では, 米飯は冷蔵 4 日では電子レンジ加熱の場合が電気釜加熱よりも回折強度が強かったが, 14 日冷蔵では両者に差がなかった.また冷凍飯の場合はいずれの加熱方法でも結晶構造の復元はみられなかった.さつまいもでは, 冷凍 1 ヵ月で電子レンジ加熱の場合に結晶構造が認められた.
4) 官能テストの結果, 総合評価では電子レンジ加熱の解凍飯は, 未保存飯, 24 時間室温放置の冷飯, 電気釜加熱の解凍飯の中でもっとも劣っていた.さつまいもでは天火加熱の評価がいちじるしく高いが, 解凍いもは加熱方法による差がなかった.

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