家政学雑誌
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醗酵食品の風味増強効果に関する研究 (第3報)
煮沸処理後の鯨肉の水分含有率, 重量, 水分および乾物量に及ぼす有機酸および含窒素成分存在下におけるエタノールの影響
奥田 和子上田 隆蔵
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1977 年 28 巻 2 号 p. 101-107

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抄録
加熱後の鯨肉の水分含有率, 重量, 水分および乾物量に及ぼす有機酸, 有機酸ナトリウム, 含窒素成分の効果および有機酸とそれらの塩類およびカザミノ酸存在下におけるエタノールの効果について検討した.
同一濃度の有機酸またはカザミノ酸の存在下ではエタノール系における加熱後の肉の水分含有率, 重量, 水分および乾物量は常に水系のそれらよりも高く, 一方煮汁の固形分は低かった.しかしながら, 水分含有率, 重量および水分に及ぼすエタノールの効果は有機酸およびカザミノ酸濃度が増加するにつれて減少した.両系とも加熱後の肉の水分含有率, 重量, 水分は有機酸およびカザミノ酸濃度の増加により増加した.遊離の有機酸およびグルタミン酸の効果はそれらのナトリウム塩よりもずっと大きかった.
同一有機酸濃度では水分含有率, 重量, 水分および調味液の初期と最終pH, 酸度は有機酸の種類により顕著に異なったが, 鯨肉に関する3つの測定値はpHまたは滴定酸度とは必ずしも相関しなかった.
グルタミン酸およびアルギニンは他のアミノ酸よりも水分含有率, 重量および水分において高かった.窒素混合物の種類による加熱後の肉に関する測定値は若干異なったが, これら測定値と全窒素に対するホルモール態窒素の比の間には相関はみられなかった.
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