抄録
50名の女子学生を対象に, 清汁を用いて, その塩味に対する官能検査を行った.
まず食塩1%の標準清汁について, その塩味の強さの評価を, カテゴリー尺度法により調査した.この清汁に対する塩味評価は, 月経周期に対して変化し, 月経周期前半期では「やや塩からく感じる」のに対し, 後半期では「ややうすく感じる」傾向が認められた.
食塩濃度が異なる3種の清汁 (食塩0.8, 1.2, 1.5%) においても, 月経周期の後半期は前半期に比べて, より「うすく感じる」傾向を示した.
食塩濃度の異なる4種の清汁 (食塩 0.8, 1.0, 1.2, 1.5%) のうち, 最適添加量と推定した好みの食塩濃度を月経周期に対応させて, その平均値と信頼限界を求めた結果, 月経周期の前半期と後半期では, その評価に明らかな有意差が認められた.
この結果より判断すると, 月経周期の前半期は比較的うすい食塩濃度の清汁を好み, 後半期は前半期より濃い食塩濃度の清汁を好むと思われる.