家政学雑誌
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黄身酢の粘度に関する研究
晴山 克枝松浦 和子古州 英子吉松 藤子
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1979 年 30 巻 2 号 p. 165-170

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抄録
黄身酢の卵黄添加による, でんぶん糊の粘度低下の理由を明らかにするために, 本実験を行った結果は, 以下のようになる.
1) でんぷん糊の粘度は, 70℃のときに卵黄添加した場合に, もっとも低下した.
2) 調味料のうち, 砂糖や食塩は卵黄によるでんぷん糊の粘度低下に大きな影響はないが, 酢は粘度低下を阻害した.
3) 卵黄構成成分のうち, オレイン酸とレシチンはでんぷん糊の粘度低下に影響なく, α-アミラーゼのみ粘度低下をおこした.
4) 卵黄液による還元糖生成量は, 50℃, pH6.9において最大となった.
5) 薄層クロマトグラフィーの結果, 卵黄を添加して粘度が低下したでんぷん糊より, マルトースが同定された.
以上のことにより, 黄身酢における卵黄添加による, でんぷん糊の粘度低下の主な原因として, 卵黄中に存在するα-アミラーゼによるものと考えられる.
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© 社団法人日本家政学会
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