家政学雑誌
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脱塩脱脂粉乳および脱塩ホエー粉末添加食品の調理性について (第2報)
ファリノグラムについて
高橋 節子大塚 育大家 千恵子
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1979 年 30 巻 9 号 p. 750-757

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抄録

脱塩脱脂粉乳および脱塩ホエー粉末を添加したクッキーの性状に及ぼす影響を, 物性面と官能検査により検討し, さらに小麦粉ドウの物性に及ぼす添加物の影響を, ファリノグラフにより測定し, 次のことが明らかとなった.
1) クッキーの膨化率は脱脂粉乳またはホエー粉末添加により, 無添加よりも大なる値を示した.また脱塩しないほうが膨化は大であった.
もろさは無添加がすぐれ, この結果はショートメーター, 官能検査ともによい一致を示した.
2) ファリノグラムに及ぼす影響
i) 脱脂粉乳添加については添加量が多くなるほど, 吸水率は減少し, 生地形成時間は長くなり, バロリメーター値は大となる.30%添加では, 生地形成時間が著しく長くなり, 生地の弱化は大となり, ファリノグラムは特異なカーブを描いた.
ii) ホエー粉末添加は脱脂粉乳添加に比べて小麦粉ドウに及ぼす影響は僅少であったが, 30%添加においては最高粘度に達したのちの粘度低下は認められず, 安定性の大なる生地となった.
iii) 脱塩率の影響は, 脱脂粉乳は脱塩率が高くなるほど, 生地形成時間は短縮される.ホエー粉末の脱塩の影響は粉乳に比べてわずかであった.
iv) 薄力粉に脱脂粉乳またはホエー粉末を30%添加したとき, 特異なカーブを描くことから, 乳糖とカゼインをおのおの添加して, その影響を検討した結果, カゼインは生地形成時間を長くし, 生地の弱化を抑制すると考えられた.
v) ファリノグラムとエクステンソグラムの関連性をみるために, 薄力粉に30%添加したドウのエクステンソグラムから, 脱脂粉乳30%添加したドウは, 無添加ドウに比べ腰の強い, 伸びやすい生地となり, ホエー粉末添加は伸張抵抗は大となるが伸びにくいことを示した.

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