家政学雑誌
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カキの調理と衛生に関する効果的な洗浄方法の検討 (第1報)
豊後 孝江
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1980 年 31 巻 8 号 p. 561-567

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抄録

カキの調理と衛生に関し, 衛生学的見地から, 適切な洗浄方法を検討する目的で, むき身直後の生カキを対象にし, 基本的な4種類の洗浄方法について, 細胞の活性度による鮮度判定法・除菌効果および洗浄カキの保存に伴う変化の観察を行った. その結果を要約すると次のようになる.
1) むき身カキは洗浄により, 細胞の活性度は低下するが, 3%食塩水を使用して洗浄すると, 鮮度低下はほとんどみられない.
2) だいこんおろし混合洗い・ざるふり洗いを, 3%食塩水を使って行うと, 細胞の活性度低下は少なく, 水道水によるよりも鮮度保持が期待できた.
3) 洗浄カキの細胞活性度は, 保存 (5℃) に伴い低下し, その傾向は, 洗浄カキ>無洗浄カキであり, 水道水処理>3%食塩水処理であった.
4) カキの洗浄方法と除菌効果の順は次のようであった. 3%食塩水・ざるふり洗い>3%食塩水・20%だいこんおろし混合洗い>3%食塩水洗い>3%食塩水・10%だいこんおろし混合洗い.
5) 洗浄カキの細菌数は, 保存 (5℃) に伴い上昇した. その上昇傾向は, 1日後の変化は少なく, それ以後の変化が顕著であった. 洗浄方法別には, 3%食塩水を使って洗い, これにだいこんおろしを混合する洗い方によると, 菌数の上昇は低い傾向がみられた.
6) 鮮度保持・除菌および保存の面からカキの洗浄方法を考えると, 3%食塩水洗い, 3%食塩水・ざるふり洗い, 3%食塩水・20%だいこんおろし混合洗いの3方法が適当な方法と考えられる.

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