抄録
ギャザースカートのギャザー効果をヘム曲線の形状からとらえ, それと素材物性および視覚評価との関係を検討した結果, 次のように要約することができた.
1) ギャザースカートのヘム曲線の形状すなわちシルエットは着衣基台の形状によって決まり, 外観効果を示すノード数, 山の高さおよび谷の高さの平均, 山と谷の角度の平均, ノード指数および垂下面積には素材特性すなわち曲げ剛性 B およびドレープ係数が関与する.
曲げ剛性 B およびドレープ係数の大きい素材はひろがりの大きい, ノード数の少ない外観を呈する.
2) ギャザー分量の差に対する美しさの評価はノードの多く形成された柔らかい素材は 2.5倍が, 他は3倍が高評価され, これらギャザー分量はノード形状が崩れずに比較的均一に形成されている.
素材に対する評価はジョーゼット, パールスムースニット等の曲げ剛さの小さい, ドレープ効果のよい素材は高評価を受け, 綿 100%のシーチング, 綿とポリエステルの混紡であるブロード, デニム等の剛さのある素材は低評価であった. ノード数と評価結果の相関は r=0.663でやや相関がみられ, ノード数は美的評価の要因の一つであるといえる.
3) ギャザースカートのイメージ用語による評価得点は素材物性すなわち曲げ剛さやドレープ係数の異なる試料では対称的な傾向を示した.またイメージ特性と着用特性との関係を因子分析により検討したところ, 第I因子ではかろやかさの特性, 第II因子では落ちつきの特性, 第III因子では華やかさの特性が抽出され, 着用特性は華やかさの特性と関係が深いという結果が得られた.