家政学雑誌
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ホウロクイチゴおよびナワシロイチゴの果実の成熟過程における成分の変化
阪村 倭貴子
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1982 年 33 巻 7 号 p. 366-373

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抄録

ホウロクイチゴ (I) およびナワシロイチゴ (II) の2種のキイチゴの果実の成熟過程における糖, 有機酸, ビタミンC, およびポリフェノール含量の変化を検討した.
1) 可溶性全糖および還元糖の濃度は, I, IIいずれも成熟に伴い有意に増大した.還元糖/全糖の比は成熟過程を通じて顕著に高く, かつ成熟に伴い減少する傾向がみられた.
2) 遊離糖は, I, IIいずれも成熟過程を通じて, 主としてフルクトース, グルコース, およびシュクロースから構成されていることが認められた.これらの糖濃度は成熟に伴い増大する傾向がみられたが, いずれの熟度段階でも, フルクトースおよびグルコースが主要な糖であり, シュクロースは最寡糖であった.
3) 有機酸濃度は, I, IIいずれも糖濃度の増大に符合して, 成熟に伴い有意に減少した.
4) L-デヒドロアスコルビン酸濃度は, 未熟期につづく熟度段階で, 果実が帯赤色となる時期に有意に増大し, その後は成熟に伴いIでは減少し, IIでは増大をつづけた.L-アスコルビン酸濃度は成熟に伴いI, IIいずれも有意に増大し, 完熟期に有意に減少した.L-アスコルビン酸/総アスコルビン酸の比は, 工では成熟過程を通じて顕著に低く, このもののアスコルビン酸オキシダーゼ活性の高いことが示唆された.
5) 全ポリフェノールおよび会合型タンニンの濃度は, I, IIいずれも成熟に伴い有意に著しく減少した.成熟過程を通じて全ポリフェノールの大部分が会合型タンニンであった.
6) 上記各成分の1果当りの絶対量についても, 成熟に伴う変化を検討した.

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