家政学雑誌
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33 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 青ジソ葉のフェノール成分
    有富 正和
    1982 年 33 巻 7 号 p. 353-359
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    青ジソは, ツマとして日本料理に繁用される植物の一つである.この乾燥した葉から, スクテラリン (工) (収量0.01%), ビセニン-2 (V) (収量0.002%), ロスマリン酸 (VII) (収量0.2%) およびカフエー酸 (VIII) (収量0.005%) を単離, 同定した.これらの収量から, 上記四つのフェノール性物質のうち, ロスマリン酸が本植物のアクに主導的な役割をしていることが予想された.
  • 重合油のSephadex LH-20およびLH-60クロマトグラフィー
    浅川 牧夫
    1982 年 33 巻 7 号 p. 360-365
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    加熱調理油中の重合油成分の分画に親油性ゲル濾過担体であるSephadex LH-20およびLH-60ゲルを用いた.両Sephadexゲルの分子量排除限界の違いから, Sephadex LH-20ゲル濾過法は加熱調理油中の重合油成分と非重合油 (トリグリセライド) 成分の分画および定量に適していることが明らかになった.一方, Sephadex LH-60ゲルはLH-20ゲルに比較して分子量排除限界が大きいことから, 加熱試料油中の重合油成分を分子量 (重合度) の違いに応じて, さらにいくつかの成分に分画するのに適した性能のゲル濾過担体であることが明らかになった.なお, 両カラムとも1年以上にわたって室温で繰り返し使用したが分離能および試料油の回収率は良好であった.
    加熱調理油あるいは油脂類を多く含む貯蔵・加工食品中の油脂類の性状や品質を詳細に評価するためには, 通常の劣化判定のための物理・化学的測定のみならず, それらの油脂類中に含有される重合油成分の量およびその性質を明らかにすることが必要である.上述のように, Sephadex LH-20およびLH-60ゲル濾過法を目的に応じて単独であるいはそれらの方法を組み合わせて加熱油脂類の分析に適用することにより, それらの中に含有される種々の重合油成分の性状および量的関係を明らかにすることができ, 得られた情報をもとに油脂類の正しい品質評価が可能になるものと考えられる.
  • 阪村 倭貴子
    1982 年 33 巻 7 号 p. 366-373
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    ホウロクイチゴ (I) およびナワシロイチゴ (II) の2種のキイチゴの果実の成熟過程における糖, 有機酸, ビタミンC, およびポリフェノール含量の変化を検討した.
    1) 可溶性全糖および還元糖の濃度は, I, IIいずれも成熟に伴い有意に増大した.還元糖/全糖の比は成熟過程を通じて顕著に高く, かつ成熟に伴い減少する傾向がみられた.
    2) 遊離糖は, I, IIいずれも成熟過程を通じて, 主としてフルクトース, グルコース, およびシュクロースから構成されていることが認められた.これらの糖濃度は成熟に伴い増大する傾向がみられたが, いずれの熟度段階でも, フルクトースおよびグルコースが主要な糖であり, シュクロースは最寡糖であった.
    3) 有機酸濃度は, I, IIいずれも糖濃度の増大に符合して, 成熟に伴い有意に減少した.
    4) L-デヒドロアスコルビン酸濃度は, 未熟期につづく熟度段階で, 果実が帯赤色となる時期に有意に増大し, その後は成熟に伴いIでは減少し, IIでは増大をつづけた.L-アスコルビン酸濃度は成熟に伴いI, IIいずれも有意に増大し, 完熟期に有意に減少した.L-アスコルビン酸/総アスコルビン酸の比は, 工では成熟過程を通じて顕著に低く, このもののアスコルビン酸オキシダーゼ活性の高いことが示唆された.
    5) 全ポリフェノールおよび会合型タンニンの濃度は, I, IIいずれも成熟に伴い有意に著しく減少した.成熟過程を通じて全ポリフェノールの大部分が会合型タンニンであった.
    6) 上記各成分の1果当りの絶対量についても, 成熟に伴う変化を検討した.
  • 計測法の提案とその検討
    多屋 淑子, 大野 静枝, 三平 和雄
    1982 年 33 巻 7 号 p. 374-379
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Wearing a clothing assembly, we have a numerous space between skin and outermost layer of clothing. Its quantities means air volumes of the inter- and intra-clothing, which is an important factor to explain thermal properties, clothing functions and aethetical features.
    This paper describes a new technique for estimating the clothing microclimate volumes. This method is based on the substitution water for the interclothing air, that is, an experimental clothing made of PVC film is hermetically sealed to exclude any external air with adhesive tapes and the interclothing air is exchanged for water, and then it is deaired with an air syringe.
    According to this method, we can obtain sufficient accuracy within an error of ± 0.5 liters with the average value of three experiments, so this is a useful measurement of clothing microclimate volumes. If clothing design is the same, it can be considered that there is no effect of textile properties for one.
  • 大学生調査結果
    高橋 久美子
    1982 年 33 巻 7 号 p. 380-390
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    The author has already analyzed the patterns of emotional tie between elderly couples in the post-retirement stage. The purposes of this study are to find out in the same way whom adolescents and their parents want as the most important objects of egocentric-altruistic needs, to examine the patterns of emotional tie among them, and to compare those of couples in the different stages. The samples are university students (42 males, 52 females) and their parents.
    The results are summarized as follows :
    Many of the students want to have intimate relation to others rather than family members, but female students are more likely to rely on their parents than male students. On the other hand, most of their parents are not child-oriented but spouse-oriented. Emotional tie between couples in the post-retirement stage gets closer than that of couples in the pre-retirement stage.
  • 吉田 フジ
    1982 年 33 巻 7 号 p. 391-396
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    拭き掃除作業とエネルギー消費の関係, さらに加圧度について, 呼気分析の結果をもとにして, 被験者2名によって, 種々の角度から検討した.その結果は次のようである.
    1) 床面における拭き作業はひざまついたり, しゃがんだりして行うより, 棒雑巾を使用したほうがエネルギーの消費はかなり少ない.なお床面に加わる圧力は, 姿勢による差はあるが, はなはだしい差ではないところから姿勢に無理が少なく, 疲労感の少ない棒雑巾使用が合理的であると考えられる.またしゃがみ位は生理上好ましくない姿勢であり, 作業強度も大である.
    2) 拭き作業における作業面を変化させた場合, 高くなるほどエネルギー消費は少なく, 作業面に加わる力についても同様のことがいえる, 作業面が高いほどエネルギー消費が少ないのは加圧力が少なくなるための抵抗の減少もあるが, 姿勢に無理がなくなる効果も大きいことによると考えられる.加圧の点から見れば, 作業面が高くなるほど体重がかからず, 加圧しにくいので本能的に肩で押そうとし加圧度は少なく, また被験者は上博部に局部的疲労を感ずると報告した.疲労感とエネルギー消費は必ずしも一致していないことがわかる.エネルギー代謝率小で加圧度大なる高さとして70~80cmが得られた.
    3) 拭く速度は作業目的に合わせ, 力を加える必要があるときは速度を遅く (毎分60回前後) 力を加えず「みがく」ときは速度は速い (毎分100~120回) ほうが合理的である.場所や目的に応じ合理的な拭き掃除を行い, 家事労働の能率化を図るべきである.
  • 長 修司, 陶山 美智枝
    1982 年 33 巻 7 号 p. 397-400
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    グルコースとメチオニンを加熱リノール酸エチル中で反応させて得られるBPの抗酸化性と4種類の抗酸化剤 (α-Toc, δ-Toc, B2-but, あるいはBHA) との相乗効果をELを含む食品モデル系を用いて比較検討した.なお, ELに対してBPは10%, 抗酸化剤は0.02~2%の濃度で添加した.
    1) α-Toc, δ-TocあるいはBHA (いずれもその濃度は0.02%) とBPとを併用添加すると, Tocと BHAの抗酸化能はさらに増強され, とくにBHAで顕著であった.またBPとδ-Tocを加えた試料はBHA単独添加群とほぼ同じか, あるいはそれよりすぐれた効果を示した.
    2) B2-but.の濃度を2%にあげても, BPとの相乗効果は小さかった.
    3) 油脂のみの系にさらにカゼインあるいはでんぷんを加えた実験でも, BPとの相乗効果はやはりBHAで最も著しかった.
  • 森下 敏子
    1982 年 33 巻 7 号 p. 401-404
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    Octa-decylsilicaを分離用樹脂とするミクロ高速液体クロマトグラフィーで晩白柚未熟外果皮中のフラボノイド類を分析し, 以下の結果を得た.
    1) セップパックC18カートリッジを用いて, 試料の前処理を行ったところ, アセトニトリルで溶出を行うことにより, フラボノイド類と糖との分離が容易になった.
    2) 試料をHPLCにて分析したところ, ナリンギンのピークが検出された.各種フラボノイド類のHPLCによる保持時間, TLCの群Rf値, 呈色反応, 紫外部吸収スペクトルを比較した結果, ナリンギンであることを認めた.
    3) 晩白柚未熟外果皮100gには, ナリンギンが約180mg含有されていることを認めた.
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