家政学雑誌
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鶏卵ゲルの「す」形成主要因の再検討
加熱調理におけるすだち現象に関する研究 (第1報)
富江 ハス子大久保 一良
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1982 年 33 巻 8 号 p. 419-424

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抄録

卵ゲルにおける「す」形成の主要因を再検討する目的で, 凍結乾燥卵をおもな試料とし, 加熱卵ゲルの断面接写写真による 「す」の観測とゲル強度測定によって, 「す」形成におよぼす卵濃度, 加熱時間, 予備加熱処理および卵液の脱気とエアレーションの影響について検討した.「す」はすべて球状であり, その大きさは加熱時聞に比例して増大し, そのなかに気泡が観察されたことから, 「す」は卵液溶存気体の集合, 熱膨張の痕跡であると考えられた.予備加熱処理によって, 経時的にすだち抑制効果がみとめられ, 予備加熱処理による卵液気体の排除が示唆された.さらに, 卵液の脱気処理によって「す」の形成は阻害され, そのエアレーションによって「す」が再現した.
以上のことから卵ゲルの「す」形成の主要因は卵液溶存気体であることが明らかになった.なお, 「す」形成に関与する溶存気体の存在は, 卵成分との親和性によるものと推定される.

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