家政学雑誌
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一般生菌数および大腸菌群汚染と有機酸について
浅漬に関する食品衛生学的研究 (第1報)
角野 猛佐久間 久仁子小暮 八穂子柳沢 羊平
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1983 年 34 巻 1 号 p. 48-52

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抄録
市販浅漬の一般生菌数と大腸菌汚染を調査するとともに, 浅漬の漬液について, 購入直後および20℃・24時間保存後の有機酸含有量の増減から品質の良否の判定を試みて, 次の知見を得た.
1) 40検体の浅漬の漬液の一般生菌数は1.1×104/ml~1.1×105/mlのものが37.5%と最も多かった.また, 大腸菌群の検出率は92.5%であり, その菌数は1.0×102/100ml以下のものが67。5%と多く, それらの菌型はK.aerogenes I型が32.0%で最も多く, ついでK. aerogenes II型が25.3%であった.
2) 13検体の浅漬の漬液の購入直後の有機酸は, 平均でグルタミン酸243mg/ml, ピログルタミン酸0.23mg/ml, 乳酸0.78mg/ml, 酢酸G52mg/ml, ピルビン酸0.02mg/ml, ギ酸0.01mg/ml, リンゴ酸0.68mg/ml, クエン酸0.19mg/mlおよびコバク酸0.04mg/mlであった.
3) 浅漬の漬液部分について, 購入直後と20℃・24時間保存後の乳酸・酢酸およびリンゴ酸量の増減から, 次の3型に分類された.
I型 : 20℃・24時間保存により, 乳酸および酢酸が増加し, リンゴ酸が減少する浅漬で9検体が該当した.
II型 : 購入直後の乳酸.酢?およびリンゴ酸が1型の20℃・24時間保存後の有機酸含有量に近く, さらに保存によってこれら有機酸が減少する浅漬で, 2検体が該当した.
III型 : 購入時および20℃・24時間保存後も1およびII型に比較し, 乳酸・酢酸およびリンゴ酸が少ない浅漬で2検体が該当した.
これら3型から浅漬の良否を判断する場合, III型が最もよく, ついでI型, II型の順であることが推察される.
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