家政学雑誌
Online ISSN : 1884-7870
Print ISSN : 0449-9069
ISSN-L : 0449-9069
34 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 光散乱法による澱粉粒子の物性研究 (第3報)
    加藤 寿美子, 松生 勝
    1983 年 34 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    馬鈴薯澱粉の糊化過程における構造と物性の変化について検討した.
    糊化のさいの澱粉濃度依存性については, 1~6%懸濁液では低濃度ほど最高粘度値は小で, 最高粘度到達温度は高く, 光散乱像, 偏光十字の消失は速やかであった.加熱過程における濃度別粘度特性と偏光顕微鏡ならびに光散乱像による粒子の崩壊挙動は矛盾しなかった.加熱が急速に進行する場合は, ミセルのランダムな配向やその崩壊は緩慢な加熱より遅れて生じた.
    単一馬鈴薯澱粉粒の光散乱 {象は粒子の形状や内部構造を反映し, 小角度側のローブは楕円体の長軸方向に垂直に伸び, さらに高角度側に高次の強度極大を示した.これは形成核を中心に発達した同心円状の層状組織の半径方向への周期性によるものと推定される.
  • 1983 年 34 巻 1 号 p. 12
    発行日: 1983年
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 田中 伸子, 岡村 浩
    1983 年 34 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    以上の実験結果より, 食事がα-アミラーゼ活性の変動因子であることは明らかである.また, その構成要因の一つである咀嚼という口腔内の直接的機械的刺激がごく短時間に終了するという事実より考えると, α-アミラーゼ活性の変動は, 食物摂取による直接的な, あるいは生体内における代謝の機序を含めた間接的刺激が作用していると推察される.
    唾液中α-アミラーゼ活性の変動要因につき検討を加えた結果をまとめると次のようになった.
    1) 唾液中α-アミラーゼ活性の変動は, 生活のパターンと密接な関連性をもっており, 食事は大きな変動因子であることが認められた.
    2) 咀嚼という直接的機械的刺激を口腔内に与えると, ただちに唾液量, pHおよびα-アミラーゼ活性が増加する.また, 咀嚼終了とともに, 咀嚼時間の長短に関係なく, 唾液量, pHおよびα-アミラーゼ活性は減少し, ほとんど咀嚼開始前のレベルにもどり以後大きな変動は示さない.したがって, たんなる咀嚼という機械的刺激は, α-アミラーゼ活性に一過性の変動を与える因子であることが認められた.
    3) 唾液中α-アミラーゼ活性は個人差が大きく, 332名の女子大生の起床時における活性は271mg/ml salivaであったと同時に行ったアンケート調査より, 食物を口に入れてから嚥下するまでの平均咀嚼回数の多い者のほうが, 少ない者よりα-アミラーゼ活性が高いこと, 澱粉性食品を好む者のほうが, 普通もしくは好まない者より高いことに有意差が認められた.この結果より, 食生活における個人の習慣が唾液中α-アミラーゼ活性と関連があるものと考えられた.
  • 基本モデルによる実験値解析法
    平松 峻, 小谷 昭子
    1983 年 34 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In order to obtain the soil detachment rate d and the soil redeposition rate r from experimental values by means of fundamental model described in the previous paper, a theoretical study has been made.
    The study has shown that :
    1) From experimental curve which shows the relation between the mass of soilon the fabrics x 0 (t) and time t, d and r at time t are obtained as follows.
    d=x0' (t) |f (t) /x0 (t) f (t) exp {-f (t) t} +|x0' (t) | [1-exp {-f (t) t}]
    r=Lf (t) exp {-f (t) t} /A·x0 (t) f (t) -|x0' (t) |/x0 (t) f (t) exp {-f (t) t} +|x0' (t) | [1-exp {-f (t) t}]
    where L, mass of aqueous detergent solution; A, surface area of fabrics;f (t) =1/Δtlogx 0'(t) e x 0' (t+Δt) , Δt is small time.
    2) If d, r are respectively considered to be constants, irrespective of time, they are expressed by simpler equations than the above mentioned equations, by means of the mass of soil on the fabrics or the concentration of soil in the aqueous detergent solution.
  • 球形粒子の付着脱落に関する研究(第3報)
    渡辺 紀子
    1983 年 34 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    粒子汚れのモデルとして, 粒子径 (2.5, 4.5μm) の異なるFe2O3・H2OとCaCO3の球形粒子を界面反応法により調製し試料とした.
    弱い機械的振盪力を加えた系において, エタノールを分散媒とし, 単成分および二成分混合粒子の分散液からポリエステル布に対する付着平衡実験を行った.単成分粒子系と二成分粒子系の付着等温図は, いずれも付着粒子数に飽和値を持つことが認められた.
    単成分粒子系, 二成分粒子系ともにLangmuir型の単粒子層付着をしていることが推定された.二成分粒子系における飽和値は単成分粒子系から予測した二成分粒子系の飽和値より低いことから, 異種粒子間の相互作用が暗示された.
    また, 全粒子数を一定にして, 二成分の粒子数比を変化させた分散系におけるそれぞれの粒子の布への付着粒子数を比較したところ, それぞれの組合せで付着粒子数比に差異が認められた.
  • 中西 茂子, 増子 富美
    1983 年 34 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    It seems probable that the removal of soils from resin finished fabrics occurs simultaneously with the removal of resins during the cleansing process, but the observation for the removal of resin has been ignored so far.
    Therefore, a simultaneous observation for the removal of resin and soils was carried out in this study to investigate the effect of resin finish on the detergency of soils together with that of stains on the removal of resins.
    The results disclosed a correlation between the above two effects as follows :
    1) Water soluble soils became more removable by resin finish with an increase in the removal of resins from resin finished fabrics.
    2) The detergency of oily soils was reduced by resin finish and only a little removal of resin was observed with oily soils on resin finished fabrics.
    3) A mixture of hydrophilic and hydrophobic soil as Chinese ink on resin finished fabrics gave a little removal of resins and its detergency was slightly influenced by resin finish.
    4) Also dry cleaning showed a tendency that any increase in the removal of resins gave an improved detergency and reduction in detergency showed little removal of resins.
  • 小林 重喜, 山内 和子
    1983 年 34 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    In order to make clear the influence of detergents on phosphorous loadings to a large river, quantities of water soluble phosphate in the Nagara river and their seasonal variations were studied.
    Results are summarized as follows;
    1. Amounts of soluble phosphate transported through the Nagara river to Ise Bay varies with seasons. The phosphorus loading is greater from summer to autumn and decreases rapidly towards winter, and reaches a nearly steady state, 350-380 kg/day of phosphorus expressed as P, and the values in winter are only 13-36% of those in summer.
    2. In May-September period, 610-690 kg/day of phosphorus as P, over 64% of total loading of phosphorus to the Nagara, sometimes 2, 000 kg/day (over 85%) is loaded to the river by fertilizer and organophosphorus agricultural chemicals in the run off from plowlands in the catchment area of the Nagara river system but phosphorus loading by detergents is less than 8.4-9.4% of total phosphorus loadings.
    3. In the Nagara, the amount of phosphorus supplied from effluents of the sewage disposal plants is more than twice the amount from laundry waste water.
  • 浅漬に関する食品衛生学的研究 (第1報)
    角野 猛, 佐久間 久仁子, 小暮 八穂子, 柳沢 羊平
    1983 年 34 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    市販浅漬の一般生菌数と大腸菌汚染を調査するとともに, 浅漬の漬液について, 購入直後および20℃・24時間保存後の有機酸含有量の増減から品質の良否の判定を試みて, 次の知見を得た.
    1) 40検体の浅漬の漬液の一般生菌数は1.1×104/ml~1.1×105/mlのものが37.5%と最も多かった.また, 大腸菌群の検出率は92.5%であり, その菌数は1.0×102/100ml以下のものが67。5%と多く, それらの菌型はK.aerogenes I型が32.0%で最も多く, ついでK. aerogenes II型が25.3%であった.
    2) 13検体の浅漬の漬液の購入直後の有機酸は, 平均でグルタミン酸243mg/ml, ピログルタミン酸0.23mg/ml, 乳酸0.78mg/ml, 酢酸G52mg/ml, ピルビン酸0.02mg/ml, ギ酸0.01mg/ml, リンゴ酸0.68mg/ml, クエン酸0.19mg/mlおよびコバク酸0.04mg/mlであった.
    3) 浅漬の漬液部分について, 購入直後と20℃・24時間保存後の乳酸・酢酸およびリンゴ酸量の増減から, 次の3型に分類された.
    I型 : 20℃・24時間保存により, 乳酸および酢酸が増加し, リンゴ酸が減少する浅漬で9検体が該当した.
    II型 : 購入直後の乳酸.酢?およびリンゴ酸が1型の20℃・24時間保存後の有機酸含有量に近く, さらに保存によってこれら有機酸が減少する浅漬で, 2検体が該当した.
    III型 : 購入時および20℃・24時間保存後も1およびII型に比較し, 乳酸・酢酸およびリンゴ酸が少ない浅漬で2検体が該当した.
    これら3型から浅漬の良否を判断する場合, III型が最もよく, ついでI型, II型の順であることが推察される.
  • カスタードプディングの品質におよぼす加熱速度の影響 (第2報)
    布施 静子
    1983 年 34 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    高速加熱と低速加熱によるカスタードプディングの製品の組織構造を調べるための実験を行った.
    1) 未加熱の混合物の遠心分離による沈殿物には, 微細な糖蛋白粒子からなる微小な空隙を含む基質と卵黄球, 大きな卵白塊および繊維状構造物がみられる.
    2) 低速加熱の中間物は, 外帯と内帯とに区別され, 基質内の空隙に変化がみられる.製品では, 空隙は消失し, 微細な粒子が原形のまま均質に分布し, 大きな糖蛋白粒子は, やや破壊されている.脂肪滴は, 少し大きくなり不定形のものもあるが輪郭は明瞭になっており, 加熱の影響と思われる.
    3) 高速加熱の中間物は低速加熱に比べ, 外帯は厚く, 気胞の形成も著しい.製品は, 外帯がやや薄くなり, 内部まで大きな気胞が侵入しているほかは, 低速加熱の製品とあまり変らない.
    以上のことから, 高速加熱の製品と低速加熱の製品の組織に大差のないことがわかり, 肉眼的にもいずれも良質の製品と認められ, 前報1) の報告と一致した.しかし, 顕微鏡観察では, 高速加熱の製品は内部にまで大きな気胞が侵入していた.
  • 岸田 忠昭, 浜野 孝, 三ツ橋 幸正, 平松 直子, 松木 幸夫
    1983 年 34 巻 1 号 p. 58-61
    発行日: 1983/01/20
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    イノシシおよびブタの白身肉に関する実験結果を要約すると次のごとくである.
    1) イノシシ肉のクロロホルム・メタノール混液抽出物中にはFFAおよび1・3-DG量がTGに比べ非常に微量しか存在しないためにTLC的には検出できなかった.
    2) クロロホルム・メタノール混液抽出物中のTGではC54の割合がイノシシ肉で著しく少なかった.
    3) イノシシ肉はC18 : 2およびC18 : 3のごとき高度不飽和脂肪酸量が多かった.
    4) 硬さおよび咀しゃく性はイノシシ肉のほうが小さかった.
feedback
Top