1984 年 35 巻 11 号 p. 797-799
α-Laのペプシン分解産物中の高分子性A画分について, その二次的抗原性の発現性について検討した.結果は次のように要約される.
1) α-Laをペプシンにより経時的に分解する過程に, α-Laより高分子性のA画分が生成されるが, この高分子性物質は, α-Laの分解産物が重合して生成された高分子性物質であると考えられた.
2) 高分子性A画分には, 天然α-Laの抗原構造の残存率は少なく, 家兎に免疫注射すると, α-Laの天然抗原決定基に対する抗体はほとんど生産しないが, A画分とのみ反応する抗体が生産された.この結果から, α-Laをペプシン処理する過程に, 高分子性A画分に基づく二次的抗原決定基が生成されることが認められた.