家政学雑誌
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鶏卵の鮮度と加熱条件の相違がゲルの物性に及ぼす影響について
鶏卵の貯蔵と熱凝固性について (第2報)
村田 安代寺元 芳子
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1985 年 36 巻 10 号 p. 763-769

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抄録

殻付卵を冷蔵および日本の夏期を想定した30℃で貯蔵し, 一定期間 (1, 2, 3, 4週間) ごとに, 卵白・卵黄 (2倍希釈) をそれぞれ一定条件下で加熱し, ゲルの物性を主にして, 当日卵のゲルと比較した.
1) 冷蔵卵のゲルの物性の変化は卵白・卵黄とも少ない.
2) 30℃貯蔵卵の卵白のゲルは, 95.0±1.0℃20分加熱では, 貯蔵期間が長くなるにつれ, ゲルの物性が異なる傾向がみられた.
3) 当日卵と30℃3週閥貯蔵卵の加熱条件の絹違による物性を比較したところ, 当日卵の卵白ゲルは80℃20分加熱以外の加熱条件下では, いずれもカードメーターで破断力を示すゲルを形成し, 30℃貯蔵の卵白ゲルは80℃20分・40分加熱, 90℃20分加熱では粘稠度を示した.卵黄ゲルは2倍に希釈して調製されているが, 90℃以下の加熱温度ではいずれも粘稠度を示し, 30℃貯蔵のほうが値が低い傾向がみられた.
4) 鶏卵の貯蔵や加熱による物性の変化をタンパク質化学的に検討したところ, オバルブミン画分の変化が関与するように思われた.

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