家政学雑誌
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海藻脂質の抗酸化性および食品抗酸化剤としての利用にっいて
西堀 すき江並木 和子
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1985 年 36 巻 11 号 p. 845-850

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抄録
一般に食用に供することの多い海藻類 (緑藻類1種, 褐藻類3種, 紅藻類3種) のヘキサン : エタノール (79 : 21v/v) 抽出脂質区分に抗酸化性を認めた.抗酸化力は経時的な酸素吸収量による重量法および生成過酸化物のロダン鉄法による測定で調べた.海藻類では, 青のり, わかめの抽出脂質が既存の抗酸化剤BHA, α-トコフェロールに匹敵する抗酸化性を示した.
脂質をTLCで5分画した場合, 2, 4のフラクションに抗酸化性が強く認められ, わかめではフラクション3にも活性が示され, 抗酸化性を示す複数の物質の存在の可能性が認められた.
海藻の抽出脂質類の食品抗酸化剤としての利用の可能性を調べた結果, リノール酸を用いたマヨネーズ, ドレッシング状エマルジョンでは抗酸化性が認められ, 食品抗酸化剤としての利用の可能性があると考えられた.しかし, ラードを用いたクッキーでは顕著な効果は認められなかった.
海藻の抗酸化性物質については, Fujimotoらの海藻リン脂質区分の抗酸化性の報告がある.また, 一般的に天然抗酸化剤として知られているトコフェロール類も海藻中に存在している.そこで, これらとの関連について検討したところ, 本実験で示される抗酸化性物質はTLC, 且PLC等からリン脂質, トコフェロール類とは別個のものであると考えられる結果が得られた.これについては次報に述べる.
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