家政学雑誌
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衣服の拘束性に関する研究
ボディスーツの衣服圧と動作抵抗性について
吉村 博子石川 欣造
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1986 年 37 巻 2 号 p. 107-112

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抄録

ボディスーツを例に, 衣服の拘束性を圧迫性と動作抵抗性の面から検討した.立位正常姿勢位としゃがみ込み姿勢位の圧迫度合を衣服圧で表す一方, 二動作間におよぶ衣服の動作抵抗性を仕事量で算出した.
1) ボディスーツ着用時の布の二軸伸長荷重特性と身体の曲率半径から間接的に衣服圧を算出したところ, 背面上部, 轡部, 腹部で約15gf/cm2と高い傾向がみられたが, その他の部位は数gf/cm2の値であった.また, しゃがみ込み姿勢位において衣服圧は若干増加した.しかし, 圧力センサを用いた直接計測によると, ゴム紐や縫目直下の圧迫が高く, 最高115gf/cm2もの値がみられた.
2) 衣服の運動機能性を評価するため, 動作間に働く衣服の動作抵抗量を仕事量で表す検討を試みた。仕事量は, 布の伸長変形によるWtと, 摩擦を伴い皮膚上を滑るWfの二過程に分けて算出した.その結果, 身体変形に対し布の伸長変形で対処する背面下部でWtの値は高く, 滑り量と圧迫力の大きい背面上部においてはWfが高い傾向を示した.
3) 発汗などによって衣服が湿潤すると皮膚一布間の摩擦作用によりとくにWfの値は増大し, 総仕事量は乾燥時の約3倍に増加した.布の伸長特性と摩擦の影響が衣服の運動機能性にかかわる重要な因子と考えられる.

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