抄録
炊飯時の加水量の相違, および米飯を冷蔵庫, 室温で貯蔵したさいの飯の老化状態を, 米飯の粘着度, 糊化度およびアミログラフなどで検討し, 次の結果を得た.
1) 糊化度では, 加水量1.2, 1.6, 2.0倍では 100%を示していたが, 0.8倍では93.0%で完全には糊化していなかった.また, 米飯の冷蔵庫貯蔵は室温貯蔵より糊化度の低下はすみやかであった.
2) 飯粒の粘着度では, 炊飯時の加水量が大なる飯ほど大を示した.また, 米飯を冷蔵庫貯蔵と室温貯蔵した場合に粘度の低下は前者が大であった.
3) アミログラムでは, 炊飯直後の米飯は初発粘度が大で, 原料米のようなはっきりしたピーク粘度はみられず, ミセルがある程度崩壊していることが推測された.一方, 炊飯後冷蔵庫および室温貯蔵し, 老化させた米飯では時間の経過とともに初発粘度が小となり, さらに高い温度 (ピークII) と低い温度 (ピークIII) にそれぞれピーク粘度が出現し, 糊化米飯とは明らかに異なった粘度曲線を示した.また, ピークIIの場合には室温貯蔵は冷蔵庫貯蔵よりピーク粘度が大となった.ピークIIIではピークIIより高さが低く, 冷蔵庫貯蔵と室温貯蔵では大きな相違はなかった.
4) アミログラム, 糊化度および粘着度を測定することによって, 米飯の老化の状態をある程度把握することができることを認めた.さらに冷蔵庫と室温貯蔵では前者のほうが後者より老化が起きやすいことがみられた.