抄録
染料の耐光性改善を目的として一重項酸素脱活性化能を有する紫外線吸収剤を合成した. そして全照射下 (λ > 300 nm) これら化合物の染料の光退色抑制効果を溶液中と固相上で検討した.その結果ローズベンガル (CI Acid Red 94) やクリスタルバイオレット (CI Basic Violet 3) およびエリオグラウシン (CI Acid Blue 1) の光退色はニッケルスルホン酸基をもつベンゾフェノン系紫外線吸収剤の添加で著しく抑制されたが, ニッケル 2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸塩はクリスタルバイオレットの退色を加速した. 同様な方法で一重項酸素脱活性化剤や自動酸化防止剤の添加効果についても検討している.