日本家政学会誌
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乳化剤が麺の物性に及ぼす影響
地田 美香
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キーワード: 乳化剤, 麺生地, 物性
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1991 年 42 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

乳化剤が麺に及ぼす影響について物性を中心に検討を行い, 以下の結果を得た.
(1) 切断試験においては, 強力粉では生麺およびゆで麺で, 乳化剤添加により切断強度は増加した.薄力粉では, 調製直後では変化は認められなかったが, 5℃で24時間保存後では乳化剤添加によって切断強度の低下が抑えられた.
(2) 咀しゃく試験では, 乳化剤添加により生麺・ゆで麺で, 硬さ・もろさ・咀しゃく性・ガム性が増加を示したのに対し, 凝集性・弾力性はほとんど差は認められなかった.また油の影響についてはゆで麺で顕著に認められ, 単独添加では各パラメーターで低下したが, 油と乳化剤を共存した場合, 乳化剤の効果を助長し, 油による低下を抑制する傾向にあった.
(3) 引張り試験ではゆで麺で, 乳化剤添加により破断エネルギー・引張り強度・ゲル強度・伸びた長さが増加を示したのに対し, 硬さは低下を示した.また油の影響については, 咀しゃく試験と同様な結果となった.
(4) ゆで麺の濁度は, 各種乳化剤を添加することにより, 濁度の低下が認められた.濁度とレオメーターにおける物性との相関関係は, 濁度と切断強度, 咀しゃく性, 引張り強度との間にそれぞれ負の相関が認められた.
(5) アミログラフによる糊化特性は, GFE・CSL・SEで添加の影響が認められた.
(6) ファリノグラフによる小麦粉の生地特性は, 乳化剤添加により生地安定性は増加した.
(7) ゆで麺の官能検査は, 強力粉麺では, なめらかさにおいてSEで, 総合評価ではSE, GFEで高い評価が得られた.一方, 強力粉油添加麺では, 硬さにおいてPSで, なめらかさにおいてはCSLで高い評価が得られた.

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