日本家政学会誌
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公共トイレの便座の汚染度と市販クリーナー等の除菌効果
片平 理子別府 道子
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1991 年 42 巻 4 号 p. 371-375

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抄録

トイレに関する意識調査を行った後, 公共トイレの洋式便座の一般生菌数を測定し, 分離菌を同定した.また, 市販便座クリーナー, カバーの効果を調べたところ, 以下の結果を得た.
(1) 公共トイレの洋式便座には多くの人が「汚い, 不衛生」というイメージを抱いており, とくに何もせずに直接腰掛けて使用する人は10%弱であった.
(2) 便座50cm2あたりの一般生菌数は4~1,400で, 場所によりばらつきがあったが, 夏期は冬期に比べ多い傾向を示した.
(3) 大腸菌群が検出された頻度は検査した便座の10~60%で, 夏期のほうが高かったが, 検出された菌数は, 一般生菌数に比べると著しく少なかった.
(4) 便座から分離された菌は, Aerecoccus, Microceccess, Staphylocoms, Bacillusが多く, 皮膚由来ではないかと推測された.
以上 (2) ~ (4) の結果より, 便座からの感染の危険性は低いと予想された.
(5) 市販便座クリーナー, カバーの使用による皮膚接触面の細菌汚染防止効果が認められた.

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