日本家政学会誌
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バタースポンジケーキ生地の微視的および巨視的物性
川染 節江合谷 祥一三木 英三山野 善正
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1994 年 45 巻 1 号 p. 65-68

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抄録

バタースポンジケーキ生地の微視的物性と巨視的物性を比較するため, バター含量が小麦粉に対し, 0, 5, 10, 15, 20, 30および40%の試料について, 動的粘弾性とラジカル4種, すなわち, 親水性のTEMPOLおよび両親媒性のTEMPO, アミロースおよびアミロペクチン-TEMPOによるESRシグナルを測定し次のような結果を得た.
1) 生地の動的粘弾性率は小麦粉に対しバターを5%添加することにより低下し, 20%まではほとんど変化がなく40%まで徐々に増大した.動的損失はバター含量10%まで徐々に低下し, 20%までほぼ一定となり以後若干増大し, 動的弾性率とほぼ同じ変化を示した.i損失正接は, バター含量5%で急激に増大し10%以降は低下した.
2) 両親媒性のTEMPOのESRシグナルは高磁場側のピークが二つに分裂した.ラジカルの回転相関時間の大きさは, アミロースーTEMPO > TEMPOL > アミロペクチン-TEMPOの順であり, アミロースが生地中でアミロペクチンよりも大きな微視的粘度を示すことが示唆された.しかし, バターによる回転相関時間の変化は, 3種のいずれのラジカルの場合も大きくなく, 生地中のデンプンの微視的物性と生地全体の巨視的物性は明らかに異なることがわかった.

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