日本家政学会誌
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消費生活環境の地域格差とその評価
浅川 雅美軽部 光男大澤 清二
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1994 年 45 巻 2 号 p. 171-178

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抄録

家族, 衣食住, および生活情報環境に関する消費生活環境諸指標の類似度を手掛かりとして, 東京都内の64地域をクラスター分析した結果, 以下の知見が得られた.
(1) 64地域は大別して, 5クラスターに分類された.
(2) クラスタリングには, 東京都の中心部からの物理的距離や各クラスターの位置関係が関与している傾向が認められた.
(3) また, 地域の消費生活の便益を評価するのには「個人収入」, 「クリーニング店数」, 「織物・衣服・身の回り品小売り店数」, 「男子服小売り店数」, 「婦人・子供服小売り店数」, 「その他の織物・衣服・身の回り品小売り店数」, 「靴・履物小売り店数」, 「かばん・袋物小売り店数」, 「化粧品小売り店数」, 「喫茶店数」, 「料理品小売り店数」, 「鮮魚小売り店数」, 「野菜・果実小売り店数」, 「牛乳小売り店数」, 「菓子・パン小売り店数」, 「茶小売り店数」, 「陶磁器・ガラス器小売り店数」, 「金物・荒物小売り店数」, 「百貨店数」, 「新聞小売り店数」などは, 消費生活環境の地域勾配を考えるにあたって感受性の高い指標であった.
(4) 食生活に関連した指標である「食堂数」, 「飲食料品小売り店数」, 「米穀類小売り店数」, 「酒・調味料小売り店数」, 「たばこ小売り店数」および「その他の各種商品小売り店数」は島嶼部をはじめとする東京都の最外縁部に位置する地域の消費生活環境の特徴を評価するにあたって感受性の高い指標であることが推察された.
(5) 以上の結果から, 我が国の一典型地域である東京都において各地域間の格差が極めて明らかであり, それはまた千代田区を核として同心円状に層化されているということが明らかとなった.

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