日本家政学会誌
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寒天ゲルおよびκ-カラギーナンゲルのレオロジー的性質に及ぼすショ糖の影響
大賀 稔子加藤 美由紀藤井 (粂野) 恵子中濱 信子
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1996 年 47 巻 4 号 p. 321-328

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抄録
ショ糖添加寒天ゲルおよびκ-カラギーナンゲルを用いて, ショ糖が寒天ゲルおよびκ-カラギーナンゲルに及ぼす影響について, 硫黄含量, 破断特性値・動的粘弾性定数および温度依存性, 融解温度, 光の透過率, 電子顕微鏡観察から検討を行った.
(1) 寒天とκ-カラギーナンの硫黄含量は, 寒天が0.21%, κ-カラギーナンは2.80%であった.
(2) ショ糖を添加することにより, ゲルの貯蔵弾性率E', 損失弾性率E“は, 増大した.また, κ-カラギーナンゲルのE', E”のショ糖添加による増大は寒天ゲルより顕著であった.破断応力Pf, 破断エネルギーEnも, κ-カラギーナンゲルの方がショ糖添加効果が大きいことが認められた.ショ糖添加濃度の増加と共にゲルの光の透過率は増大した.この現象は寒天ゲルでより顕著に観察された。電子顕微鏡写真より, κ-カラギーナンゲルの網目は, 寒天ゲルの網目よりやや細い繊維が高密度の網目を作っていた。また, ショ糖を添加することにより, 寒天およびκ-カラギーナンゲルの網目は均質さを増す傾向であった.
(3) 温度による影響については, 動的粘弾性の結果より, ショ糖添加により, 温度上昇に伴う粘弾性率の減少が高温側に移動することが認められ, 殊にκ-カラギーナンゲルでは影響が大であることが認められた.破断応力Pf, 破断エネルギーEnは, 温度上昇に伴う減少が認められたが, ショ糖添加κ-カラギーナンゲルでは, 10℃から25℃までは比較的安定していることが認められた.
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