日本の労働時間は, 先進諸国の中でもっとも長い.これは, 過労死という深刻な社会問題と強く関わっている.本報の目的は, サービス残業を含めた労働時間, 年次有給休暇, および週休以外の休日の実態だけでなく, それらの労働条件が生活時間や家庭生活に与える影響をも明らかにすることである.
データは, 東京都世田谷区で行った生活時間調査およびアンケートによるものである.常勤夫妻 (79カップル) を対象とし, ジェンダーおよび企業・組織形態別に分析した.
私企業に勤める夫の週労働時間はもっとも長く (2時間半のサービス残業を含む約56時間), 一方, 私企業に勤める妻の週労働時間がもっとも短かった (約43時間).生活時間の視点から, 私企業に勤める夫と妻のカップルは, 公的組織に勤める夫と妻のカップルより強いジェンダーロールを示していた.妻は夫よりも三次有給休暇を多くとっていた.
筆者らは, 常勤夫妻の生活時間のバランスをとるために、労働時間が短縮されなければならないという結論を得た.