日本家政学会誌
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「味の素株式会社食品総合研究所」
脊黒 勝也
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1998 年 49 巻 1 号 p. 93-94

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抄録

1908年, 池田菊苗博士が昆布に含まれる “うま味” 成分がグルタミン酸であることを発見, グルタミン酸ナトリウムの製法を開発した.当社は, この発明の限りない可能性を感じ取った初代社長の鈴木三郎助が1909年に「味の素」 (グルタミン酸ナトリウム) の製造販売事業を開始したことに始まる.1914年には, 川崎市の工業地域の入口に位置する多摩川沿いに, 本格的な大規模工場を建設した.1956年に, 川崎工場に隣接して, 中央研究所が設立された.当初は, 「味の素」の製法研究を主目的としたが, その後, 発酵, 合成などの技術を軸に研究領域を拡大させ, 調味料を中心としたアミノ酸類, 核酸類の原料・製法・用途開発に加えて, 加工食品, 医薬品, ファインケミカル分野へ展開し, 様々な新技術・新製品開発を実現してきた.現在は, 中央研究所, 食品総合研究所, 生産技術研究所にそれぞれ分かれ, 当社の研究開発を3研究所体制で担っている.
食品の開発研究に関しては, 当初, 本社に設置された食品研究室が1964年に中央研究所に統合された時点に遡るが, 人々の価値観が「量から質」へと転換, ライフスタイルが多様化するのに伴って食品事業分野の拡大・成長発展は目覚ましく, 調味料素材を基盤に各種調味料類, 油脂・蛋白類, スープ類, 冷凍食品類等多岐にわたる事業を展開してきた.それらに対応し1991年, 食品分野の研究開発機能の統合化による総合力の発揮を目的にして, 「食品総合研究所」が設立され, 現在に至る.

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