日本家政学会誌
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口腔における粒子の認識と粒度の識別におよぼす食品物性の影響
今井 悦子田丸 理恵畑江 敬子島田 淳子
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1998 年 49 巻 3 号 p. 243-253

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抄録

口腔内で食品粒子を粒子として認識する際の最小粒度および粒子の大きさの識別の程度について官能的に明らかにし, さらにそれらと食品物性との関係を検討した.細砕した9種類の食品材料を約1.2倍の等比間隔にある標準ふるいを用いて水中でふるい分けし, 試料 (水懸濁液) とした.認識最小粒度は, セルロースの34μmが最小で, 最大は1%寒天ゲルの380μmであり, 材料によって著しく異なった.また粒度の識別の程度は, はんぺんとパン以外は, ある粒度以上において平均1.2倍異なる粒伸の識別ができること, また, そのある粒度 (識別最小粒度とする) は材料によって異なることが明らかになった.以上の認識最小粒度および認識最小粒度は, 材料の物性値のうち水分含量, 変形定数および密度等の物性値と関係が深いと考えられた.そこで認識最小粒度と識別最小粒度を, 材料の物性値を用いて数値化することを重回帰分析を用いて試みたところ, それぞれ変形定数などを用いた重回帰式で表すことができた.

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