日本総合健診医学会誌
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男性健診受診者の軽度糖代謝異常出現に関する要因の検討
堀 三郎高橋 為生西野 理英日野原 茂雄日野原 重明
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1998 年 25 巻 4 号 p. 359-364

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抄録
男性の総合健診受診者のうち, 治療中の慢性疾患を認めない2, 913名を対象として軽度の糖代謝異常出現に影響をおよぼす要因について検討した。対象をアメリカ糖尿病学会 (ADA) の提言に準じて, 空腹時血糖値 (FPG) により判定すると, 正常2, 628名 (対象全体の90.2%) , impaired fasting glucose (IFG) 209名 (7.2%) , 糖尿病76名 (2.6%) であった。IFGをWHO分類のimpairedg lucose tolerance (IGT) などにほぼ該当する軽度の糖代謝異常と理解し, 正常およびIFGに属する2, 837名においてIFGの出現に影響をおよぼす要因を検討した。
FPG, 血清総コレステロール, 血清トリグリセライド, 血清HDL-コレステロール, 血清尿酸, 血清γ-GTPをそれぞれ測定し, 年齢, BMI値, 収縮期血圧値, 拡張期血圧値とともに変数として用いた。また, 肥満, 高血圧症, 高コレステロール血症, 高トリグリセライド血症, 低HDL-コレステロール血症, 高尿酸血症, γ-GTP異常のそれぞれの有無によりカテゴリー化し, さらに, 問診表の回答から身体活動の不足, 軽い運動継続の不足, 飲酒習慣, 喫煙習慣, 20歳時体重より7Kg以上体重増加のそれぞれの有無によりカテゴリー化して検討した。
男性の総合健診受診者を対象とした多変量ロジスティック回帰分析による調整化されたオッズ比の検討では, 加齢ならびに肥満, 高血圧症, 高コレステロール血症およびγ-GTP異常がIFG出現に影響をおよぼす要因と考えられた。
加齢を除くこれらの要因はいずれも日頃の生活習慣と密接に関連があると考えられるため, 冠動脈疾患を代表とする動脈硬化性疾患の一次予防のための統括的な生活指導を行う際には, 軽度の糖代謝異常とこれらの要因との関連性に留意することがきわめて重要である。
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