日本総合健診医学会誌
Online ISSN : 1884-409X
Print ISSN : 0911-1840
ISSN-L : 0911-1840
眼圧値にかかわる因子の検討―高眼圧症は生活習慣病か?―
吉田 信彦河本 千恵白鳥 美津子伊藤 要
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 26 巻 4 号 p. 390-397

詳細
抄録
眼圧が高い人への生活指導の参考にするため, 眼圧値と人間ドックの各種検査成績を比較検討した。眼圧平均値および高眼圧率 (眼圧が20以上の割合) は女性より男性の方が有意に高かった。
血圧や血糖値の高い人の眼圧平均値や高眼圧率は対照より高値で, 男女間の有意差は見られなくなった。脂肪肝や肥満, GOT, GPT, TGの高値も眼圧を高くした。飲酒者は圧倒的に男性に多く, 飲酒男性の高眼圧率は高かった。
非飲酒者では高眼圧率や眼圧平均値の男女差はないことから, 高眼圧率や眼圧平均値全体の男女差は男性に多い飲酒によるものと考えられた。
高血糖, 高血圧, TG高値, GPT高値, 飲酒, 脂肪肝, 肥満などが重なれば重なるほど高眼圧率は上昇した。また高眼圧症で治療を受けて眼圧が正常となっていても高血糖や高血圧の割合は他の正常眼圧者より高かった。
以上のことからこれら諸因子は高眼圧の背景因子, 促進因子あるいは危険因子として重要であり, 高眼圧症は生活習慣病に関連があるのではないかと思われた。したがって高眼圧者に対しては糖尿病, 高血圧, 過度の飲酒, 脂肪肝, 肥満, 高脂血症などを改善するような生活指導を行う必要があると考えられる。
著者関連情報
© 日本総合健診医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top