抄録
虚血性心疾患や心筋症などの心臓不全状態のマーカーとして, 脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP) が注目され, 臨床に利用されている。
本研究は, 健康診断の受診者を対象にして, 心臓病と血漿BNP値との関連を検討し, 健康診断の検査項目としてのBNPの有効性を追求したものである。
その結果, 以下のごとくであった。
1.血圧, 心胸比, 心電図の異常者の頻度は, 血漿BNP値が40pg/ml未満か以上によって明らかな差が認められた。
2.血漿BNP値40pg/ml以上者は20人 (6.8%) であり, 20人中12人が健康診断の検査項目に異常が認められ, 20人中4人は精密検査の結果, 心臓に異常が発見され, 20人中4人は精密検査によっても異常が認められなかった。
以上のことより, BNPは臨床経過のみならず健康診断の検査項目として有効と思われた。