環境評価の規準として頻繁に用いられる快適性の概念を中心にして考察した。これらの規準は単に多様であるだけでなく,それらが階層的な構造をもつと見なせることに言及した。この理由は大脳の階層構造であり,EysenckやMaslowの階層的な人間モデルと関連性がある。また,実験室実験における受動的人間モデルと社会調査などにおける能動的人間モデルとを対比した。積極的な快適概念の追求は生活過程を考慮した能動的人間モデルにおいてこそ有効であることを指摘した。実験室実験における受動的人間モデルにおいては不快さの除去程度にとどめるべきではないか,という考えを倫理的な問題として提起した。