抄録
本論文は,スコットランドにおける歴史・伝統的建造物の保存・活用について着目した。スコットランドにおいてはイギリスの全ての法が適用されるのではなく,スコットランドの独自の制度や文化が取り入れられ登録建造物制度の運用がなされている。この様な中,ウィリアム・リーパーが増築・改修を行い,現在はヒストリック・スコットランドにより歴史・伝統的建造物(カテゴリーB)として登録されているタイナマラを対象とし調査を行った。調査の結果,リーパーによる図面(1904年)が見出され,この図面をもとにリーパーが行った建物西側の増築,および既存建物の改修部分の内容について考察した。さらに,現状図面と提案図面が対となった1988年時の増築・改修図面を見出し,現在のタイナマラに至るまでの変遷について明らかにした。