抄録
本研究では、着衣と皮膚の間に存在する空気層厚さの分布を、3次元レーザースキャナによる人体および着衣の表面座標測定に基づいて決定する方法を提案した。この方法により、シャツを着用した青年男子の場合について、着衣内空気層厚さの鉛直分布特性を定量的に把握した。着用の仕方、被験者の体格、着用するシャツの種類による差異は存在するものの、空気層厚さがウエストで大きく、胸から肩にかけてほぼ0に近づくという傾向が各ケースに共通して見られることを量的に示した。また、20歳代の男性の平均的体格をもつ立位のマネキンを用いて、スーツ着衣条件の場合の空気層厚さ分布を測定した。この方法を用いることにより、clo値のような全身の包括的な表現ではなく、部位の特性を考慮して、着衣内空気層における熱水分移動をモデル化する方法論を提案した。