2018 年 25 巻 2 号 p. 65-74
野外音楽フェスティバル会場において気象要素の測定を行い,暑熱ストレスの評価ならびにアンケート調査により主に来場者の防暑対策行動の実態調査を行った。調査は夏期(2011年7月)と秋期(2011年10月)に開催された野外音楽フェスティバルで実施した。夏期の野外音楽フェスティバル会場は,学協会の指針等から判断して暑熱ストレスの高い環境であった。そして熱中症のような暑熱障害の予防には先行研究と同様に気象要素の会場現地での実測が重要であることが示された。来場者の多くはタオル,水などの飲料,帽子,うちわ・扇子を防暑対策として持参していた。夏期のフェスティバルにおいて暑熱障害は発生しなかったが,これは来場者が防暑対策を主体的に行っていたことが一因として考えられる。秋期開催の野外音楽フェスティバル会場は暑熱ストレスが高くはない環境であった。秋期の野外音楽フェスティバルでは暑さが厳しくないと予測して防暑対策の携行品を持参しない来場者が増えた。