人間と生活環境
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高齢者が内服する錠剤の色に関する研究
-高齢者擬似体験装置を用いた色の判別-
三好 麻紀青木 久恵窪田 惠子庄山 茂子
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2019 年 26 巻 2 号 p. 55-64

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抄録

高齢者に特徴的な視覚症状である白内障、黄変化、白内障+黄変化の擬似眼鏡を20名の女子大学生が装着し、錠剤の色の判別実験を実施した。実験は、錠剤に見立てた直径7mmの円形紙片90色(12色相7トーンと無彩色6色)を用いた。結果、白内障+黄変化症状の視力が最も低く、判別に時間がかかるほど判別得点が高い傾向にあった。黄変化症状では、視力が低いほど判別に時間がかかり、視力が低いほど判別得点も低い傾向であった。7トーンの中で、3症状ともに判別得点が高い色相が最も多いのはブライトトーンであり、次に多いのはライトトーンであった。また、全ての色相の中で白は、高齢者にとって最も判別しやすい色であった。高齢者の内服薬の飲み間違いを防ぐためには、ブライトトーンの8つの色相の錠剤と白色の錠剤を組み合わせることが有効ではないかと推察された。

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© 2019 人間-生活環境系学会
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