冷暖房時に開口部を開放したまま営業する店舗について，開口部を介した自然換気について気流解析を行った。気流解析の対象とした店舗空間は，神戸市内の商店街で実施した実態調査に基づいてモデル化したもので，4方向に吹出し口をもつ空調機が室内の天井面に設置されている。解析の結果，冷房時には，空調機からの吹出し気流が，開口上部から侵入する高温の外気に衝突し，温度差換気を抑制していること， 暖房時には，開口上部での室内空気の流出を空調機からの吹出し気流が助長していることが示された。空調機の設置位置を開口部に近づける（開口からの距離1.5 m→0.75 m）ことで，冷房時に同等の室温を得るために必要な冷却量を13.2%削減できること，開口の上部30%を塞ぐことにより，同等の室温を得るために必要なエネルギーを冷房時に37.6%削減できることを示した。
