近年の省エネルギー政策を背景に,温暖地域でも住宅も断熱化が進んでいる。本研究では新省エネ基準IV地域(福岡)を対象に,断熱・遮熱化にともなう冷暖房負荷の影響を数値シミュレーションを基に明らかにした。暖房負荷は熱損失係数が小さくなると減少し,断熱化による省エネ効果が認められる。一方,冷房負荷では,生活要因と窓面からの日射侵入による内部熱の影響により,LDKでは断熱化の効果がほとんどみられない。躯体の断熱化とガラス窓の日射遮蔽は,夏季昼間の最大冷房負荷を低減する。また,温暖地域における高断熱住宅の省エネルギーは,必要に応じた間欠空調,夜間外気の導入,内部発生熱の速やかな換気など地域に適した生活の工夫により可能である。