人間と生活環境
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運動負荷姿勢と運動部位が温熱生理反応に及ぼす影響(第1報) : 心拍数,直腸温及び平均皮膚温の変動
鄭 明姫田村 照子
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1998 年 6 巻 1 号 p. 25-32

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抄録
姿勢,部位の異なる運動条件4種,仰臥位上肢運動,仰臥位下肢運動,椅座位上肢運動及叫奇座位下肢運動における人体の生理反応について検討した。実験は,健康な成人女子10名を対象とし,温度30±1℃,相対湿度50±10%,気流0.2m/s以下の環境条件下で,各運動条件下で求められた最大酸素摂取量VO_2Pmaxの50%強度の自転車エルゴメータ運動を15分間負荷した。測定項目は,代謝量,心拍数,直腸温及び皮膚温である。各運動時のVO_2Pmax50%は,椅座位下肢運動時のVO_2Pmaxを最大酸素摂取量(VO_2max)とした時,仰臥位上肢運動でVO_2max30%,仰臥位下肢運動でVO_2max40%,椅座位上肢運動でVO_2max37%,椅座位下肢運動でVO_2max50%となった。これらを運動姿勢・部位別に比較すると上下肢運動とも仰臥位より椅座位の方が約20〜24%大で,また,仰臥・椅座姿勢とも下肢運動時が上肢運動時より約25〜30%大であった。そこで,各生理反応を運動姿勢,部位及び運動強度との関連において検討した結果, (1) 心拍数は運動姿勢,運動部位に関係なく各負荷代謝量と高い相関を示すが,同代謝量であれば,椅座位が仰臥位よりやや大なる傾向が示された。 (2) 直腸温は心拍数と同様の傾向を示したが,運動筋の局所熱産生の影響をうけ,下肢運動により上昇する傾向がみられた。 (2) 平均皮膚温は負荷代謝量との関係が殆ど認められなかった。
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© 1998 人間-生活環境系学会
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