人間と生活環境
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室内ホルムアルデヒド濃度の挙動に関する夏期・冬期実験からの考察
大野 秀夫泉 有亮佐藤 重幸伊藤 宏吉野 博坊垣 和明
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2002 年 9 巻 1 号 p. 2-9

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抄録

居室の化学物質濃度は竣工後年数、季節、換気状態、什器・家具などさまざまな因子によって影響を受ける。室内における化学物質による健康障害や不快の訴えは新築建物に多いが、築数年経過した建物でも日々の換気状態いかんによっては許容値を上回る状況を呈したという報告もある。筆者らは築6年を経過したRC造建物内の使用頻度が極めて低い上にホルムアルデヒド含有の可能性が多い備品、家具類が多く置かれている会議室の室内化学物質濃度測定を行なう機会を得た。化学物質が発生しやすい夏期ならびに冬期暖房時に計測を実施した結果、今後の室内環境改善へ向けて有用な知見を得たので報告する。夏期実験においてはホルムアルデヒドの挙動を室内濃度と冷房によるドレインへの溶け込み濃度の双方から考察し、夏期の居住状態における化学物質対策の有効な方法としてエアコン活用を推奨するに至った経緯を詳述した。冬期実験では同じ暖房温度でも暖房する間隔が頻繁になると室内のホルムアルデヒドは発生しやすくなることがわかった。

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© 2002 人間-生活環境系学会
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