人間と生活環境
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夏期に屋外から室内へ移動後の生理・心理反応に関する研究
大堀 彩原田 昌幸久野 覚
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2002 年 9 巻 2 号 p. 70-78

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抄録

夏期に屋外と室内の出入りに伴う生理・心理反応を明らかにするために,被験者を屋外歩行させた後入室させ,設定温湿度の異なる条件に滞在させる実験を行った。実験室設定温湿度は26.0℃50%,および26.3℃40%のSET*が等しい2条件とした。屋外と室内での生理・心理反応との関係をみた。さらに,二次元温冷感モデルと入室後の生理・心理反応が合致するかどうか検討した。以下に結果を示す。1)屋外曝露時の心拍数の多少は外気温と関係したが日射量とは関係しなかつた。2)心拍数は入室後に速やかに安定した。3)入室後の皮膚温変化は以下の3つの場合があった。(1)発汗によって32.0℃程度まで低下した後速やかに元の約34.0℃へ戻った場合,(2)入室後に35.0〜35.5℃と高めの皮膚温であった場合,(3)発汗しすぎによって極端に低下した場合,である。4)入室後の温冷感申告も3つの場合に分けられ,入室後における3つの場合の皮膚温変化とほぼ対応した。5)設定温湿度による生理・心理反応の違いは判断できなかった。6)発汗しすぎた被験者は,二次元温冷感モデルと合致しなかった。これは着衣についた汗による皮膚温低下が原因と考えられる。

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© 2002 人間-生活環境系学会
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