冬期における入浴中の水位と湯温の違いが人体の生理・心理反応に与える影響を検討し,水位と湯温のどちらが温熱作用に寄与するのか,また,実際の入浴行動に反映すると考えられる心理反応と温熱作用の関係を明らかにするため,被験者実験を行った。被験者は健康成人男性8名とし,全身浴と半身浴,湯温39℃と42℃の各組合わせ4条件にて20分間の入浴を行わせた。生理量は血圧,心拍数,鼓膜温,皮膚血流量,発汗量及び総発汗量を計測し,心理量は全身温冷感,全身快適感及び発汗感を申告させた。その結果,入浴による温熱作用は水位よりも湯温に依存していることが明らかとなった。入浴中の快適性には,現在の入浴習慣の影響があるため,まずは湯温を,次に水位を下げて,徐々に湯温の低い半身浴に慣れていくことが有効であり,生理的に安全で心理的に快適な入浴につながると考えられた。
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