抄録
住宅の気密性が高まる中、暖房時の室内空気汚染や居住者の換気に対する意識・行動について改めて考えて
いく必要がある。本研究は、介入研究として、住宅に温湿度、CO2濃度の測定機器を設置し、居住者が測定値をモ
ニタリングした場合の環境調整行動や居住性への影響を明らかにすることを目的とした。2015 年 12 月上旬に、関
東地方の開放型暖房器具を使用する12 件の住宅を対象に実施した。CO2濃度は開放型暖房機器使用時に上昇し、暖
房使用時はほぼ 1,000ppm を超えており、3,000~6,000ppm 程度の時間帯もみられた。環境モニタリングによって、
測定値と環境評価値との相関係数は高くなり、数値で確認することで居住者の環境評価に影響がみられた。ただし、
介入前後でのCO2濃度には違いがみられず、環境モニタリングは居住者に開放型暖房機器使用時の空気汚染を意識
させるきっかけにはなったが換気や環境改善行動への影響は確認されなかった。